このバッテリーは発火や発煙の恐れがあるとしてリコールの対象になっていたものだが、製品の欠陥にかかわらず、リチウムイオン電池内蔵の小型家電などが発火する火災は後を絶たない。
製品事故を分析する製品評価技術基盤機構(NITE)のまとめでは、2020年から24年にかけて起きたリチウムイオン電池搭載製品の事故発生件数は1860件。月別では6~8月にかけて増える傾向で、最も少ない2月の89件に比べ、ピークの8月は228件だった。事故発生件数も右肩上がりで、24年は492件に達している。
事故の発生を製品別でみると、モバイルバッテリーが最も多く361件、次いで電動アシスト自転車202件、電動工具171件、充電式掃除機157件、ノートパソコン134件の順になっている。
リチウムイオン電池には、可燃性の電解液が含まれており、内部が高温になると気化して膨張したり発火したりする恐れがある。また、熱だけでなく、衝撃などにより内部の正極板と負極板が短絡し、急激に加熱後、揮発した有機溶剤に着火して出火することがある。よって、スマホやモバイルバッテリーを落としたときは、まずは異常がないか安全確認を最優先に行うことが重要だ。外見に傷や膨らみがないか、充電や放電の動作に問題がないかを確認し、少しでも異常を感じたら使用を中止し、専門業者やリサイクルボックスで処分しなければならない。
リチウムイオン電池を搭載した製品の「捨て方が分からない」という声も多い。回収していない自治体もまだまだ多く、環境省が2023年度に全国の自治体に行った調査では25%が回収を実施していないと回答した。まずは、住んでいる自治体のゴミ回収ルールを確認し、回収していない場合は、多少面倒でも家電量販店に持っていき、リチウムイオン電池リサイクル団体「JBRC」の黄色の回収ボックスに捨ててほしい。
明日から8月だが、8~9月も猛暑が予想されている。携帯型扇風機など、電池が使われた「暑さ対策グッズ」の使用には注意が必要だ。