トレンド
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トレンド 2009年06月04日 15時00分
覆面パン調査「北海道バター&レーズンサンド」(フジパン)
パンとは切っても切れない仲にあるバター。やなせたかし氏の名作「アンパンマン」でジャムおじさんとともにバタコさんが主人公の脇を固めていることからもお分かりのように、パンとバターはとても相性がよい。 そんなバターをふんだんに使ったフジパンの「北海道バター&レーズンサンド」がうまい。菓子パンの中心価格帯などから、単価の高いバター中心の商品は開発しにくいとされる。そんな中、ファンのために果敢に挑戦した姿勢をまずは評価すべきだろうし、バターの風味を上品かつワイルドに漂わせているのが“プロの仕事”。北海道バターの味が濃いのである。 さらに、これまた相性のよいラムレーズンクリームをサンドしたからたまらない。大人の味といわれるラムレーズンは、お酒の飲めない子供にはちょっとした憧れ。もちろんアルコール分は含まれておらず、安心して堪能できる。 食感も楽しい。北海道バター入りビスケット生地をコーティングしているため、サクサク感があって洋菓子のよう。ほどよい分量のラムレーズンクリームが口の中に広がり、コーヒーや紅茶のお供にもぴったりだ。 これだけ高カロリー食材を使いながら451キロカロリーにセーブ。思わず2つ買ってしまった。(覆面調査員・ヨン様)
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トレンド 2009年06月03日 15時00分
堀越日出夫の「私、テレビの味方です」 TBS安住アナがガッキーの素顔を暴いた
何度か取り上げているが、本欄で勝手に定点観測を続けているガッキーこと新垣結衣(20)。そんなガッキーが先月1日放送の「ぴったんこカンカン」(TBS系)のスペシャル版に登場していたのでご報告しよう。 お相手のTBS・安住紳一郎(35)アナウンサーとともに東京・代官山、恵比寿などをめぐったわけだが、冒頭でいきなり安住アナが先制の奇襲を仕掛けた。 「ドラマの方では笑顔というキーワードが大事なようですけど、あんまり笑ってませんよね」 そう、同局で放送中のドラマ『スマイル』に出演している番宣でガッキーは出てきたわけで、それに対するけん制と、ガッキーの人間性を見抜いていたのだ。鋭い! ガッキーは、「緊張していて(苦笑)。徐々にほぐれてくると思います」と返すのがやっと。ガッキーといえば、ポッキーのCMでただただ踊るだけの姿を見せることでブレイクしたとはいえ、その後の活動をつぶさにチェックしていても、CMで見せたような(こちらが期待するような)普通の女子のような活発な面を見せてくれない。 むしろ素のガッキーは相当にインドアで、暗い子なんじゃないか疑惑をたびたび伝えてきた。安住アナはそれをすでに見抜いていたのだ。 これだけではない。 番組中盤で安住アナはさらに追い打ちをかける。 「新垣さんは運動しないですよね。あまりにも動かないんで、肩から上に手をあげたことがないっていう噂が立ちませんでした?」 この問いにガッキーは「はい。あんまり(運動することは)ないですね。手を振る時はこの程度なんで」と認めつつ、肩付近で手を振る仕草をした。 つまり、プライベートで友達と別れる時に手を振る際もその程度のテンションだ、と。これで理解ができた。ガッキーは感情の起伏が少なくて、かつ体で表現することが苦手な人なのだ。よって、極端に全身を使わない子として映る。それは仕事だろうがプライベートだろうが関係がない。まさか安住アナのヒントで理解できようとは思ってもみなかった…。 考えてみれば、ポッキーのCMで全身を使い踊っていたのと完全に対照的である。 あのガッキーはあのCMの15秒間だけしか存在しない。あのCMが良かったのは、そんなガッキーが踊らされていることで「萌え」が発生したからだ。これからのガッキー本人のためにポッキーのCMのことは忘れてあげた方がいいのかもしれない。
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トレンド 2009年06月03日 15時00分
ブレスト式 必勝ロト6当選術
「日本茶というのはね葉を蒸せばお茶になると思ってる人っておそらくいると思うんです。でもそれだけじゃダメなんです。揉むという作業が大事なんですよ」とは静岡の友人Y氏。蒸して揉むことによって、はじめて日本茶の味になるというのだ。 新茶の味が、いまではペットボトルで楽しめてしまうのだから有難い。長い間、緑茶はペットボトルに入れられなかった。葉緑素が酸化し茶色くなるためであった。その問題を解決したのがビタミンCであることはあまり知られてはいない。 さて、煎茶の中でも玉露の旨みは格別である。日光を浴びせられずに日覆いされ、日陰で育てられることで渋み成分が抑えられるからである。お茶は渋みと苦味と旨みのバランスで表情がそれぞれ違う。 そして、水によっても違う。お茶は、軟水すぎてもよろしくない。水に含まれるカルシウムとマグネシウムの量を炭酸カルシウムに換算して50から80くらいがいいらしい。すべてY氏からの受け売りだ。 ちなみに東京都の水道水の硬度は、お茶に合う50から100の中硬水である。 次回ブレスト数は、出現率14.9%の数字群より抽出。ライン数は連番連鎖。ブレスト数8・15・35ライン数5・10・11・13・16・17・23・24・26・27・28・29・31・32・34・36・37・39・41・42【(5)・(23)・(34)・(35)・(37)・(39)】【(8)・(13)・(16)・(17)・(27)・(32)】【(8)・(15)・(16)・(26)・(31)・(36)】【(10)・(15)・(29)・(31)・(32)・(41)】【(11)・(24)・(27)・(28)・(35)・(42)】○ブレスト式とは… ランダムな数字の配列をバックリーディング(裏読み)によって抽出する攻略法。出目の読みに乏しい任意の数字を選ぶときの有効なファクターとなる。<プロフィール> 本阿弥億千(ほんあみ・おくせん)安土桃山時代を愛するロト研究家としてホテルに根城を構える。週末は北鎌倉の工房で茶器を焼く日々。趣味は刀剣鑑賞。好きな言葉ウオーレン・バフェット「価格とは何かを買う時に支払うもの。価値とは何かを買う時に手に入れるもの」
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トレンド 2009年06月03日 15時00分
書評「ヤホーで調べました」ナイツ著、竹書房
「きのうインターネットのヤホーで調べてきたんですけど…」でおなじみのナイツの本がついに登場だ。 ともに創価大学落語研究会出身の塙宣之と土屋伸之のコンビ。そんなナイツが「新垣結衣」「ピン芸人」「死刑判決」など、“ヤホー”で調べた82のワードをテーマに繰り広げられる52本のネタを収録。08年のM-1グランプリで“3本の指が入った”彼らだけに、内容は抱腹絶倒もの。テレビ未発表のネタも含めた怒涛の言い間違い喜劇はどのページをめくっても面白い。 ボケとツッコミのリズミカルな繰り返しが秀逸なナイツ。そんなノンストップ漫才を紙面で表現するために、本のところどころに編集者の苦労の跡が…。 それでも5秒に一度笑わせるギャクセンスは紙の上にも健在だ。(税別1200円)
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トレンド 2009年06月03日 15時00分
書評「エス。」神戸蘭子著、ゴマブックス
背が高くなくては無理と言われるモデル業界で、たった154センチの身長で活躍するモデルがいる。 小さな服を着こなす「Sサイズモデル」として人気急上昇中の神戸蘭子がこのたび、初のフォトエッセイを出版した。 同書には子供時代のプライベートショットから、これからの季節にピッタリなワンピースなどを着た写真がイッパイ。 蘭子ちゃんいわく、背が低い女のコのファッションテクニックは「視線を上へ、上へ」と持っていくこと。髪をアップにしたり、大きめのピアスやネックレスを重ねづけしたりして、胸元から上に視線を集めると、背の低さが変に目立たないのだとか。 水着カットがないのが残念だが、子供の頃から続けているというバレエのレオタード姿に思わずドキッとさせられちゃう。雑誌やテレビで気になっていた人は迷わず買いだ。(税別1600円)
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トレンド 2009年06月02日 15時00分
オヤジの磨き方 イメトレでオーラを出す
昨日の内外タイムス60周年イベントには驚きました。それに輪をかけて仰天したのが、アントニオ猪木さんのエネルギッシュなこと。体中から情熱のオーラがほとばしっていました。 猪木さんに限らず、各界大物は特有のオーラを発しています。実績や経験、生き方などから自然発生するため、一朝一夕にどうなるものでもありません。しかし、小さなオーラならば、心がけひとつで身につけることができるのです。 ミュージシャンのプチ・オーラを発するレッスンをしましょう。頭に憧れのミュージシャンを思い浮かべます。解散したサザンの桑田佳祐さんでも、ミック・ジャガー氏でもかまいません。ステージで歌っている姿をイメージしながら、心の中で曲を進めます。 このとき、絶対に口ずさんではいけません。目を閉じるのもNG。しっかりイメージができていれば、観客席の興奮が伝わってきて体がポカポカしてきます。次の曲では、ベロをめいっぱい出して首を激しく振り、観客席をあおりましょう。 この作業を連日繰り返すと短時間でイメージが確立できるようになります。「休日に喫茶店でホットコーヒーを頼む」といった細かいシチュエーションもこなせるようになり、そうなればこっちのもの。コンビニの店員が「あのオヤジ、ミック・ジャガーっぽくねえ?」などとヒソヒソ話をするのが聞こえてきます。プチ・オーラが出ています。(ジゴロライター・紫三太郎)
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トレンド 2009年06月01日 15時00分
人物クローズアップ 石黒賢
6月6日に渋谷シアター・イメージフォーラムなどで公開される映画「ジャイブ―海風に吹かれて」。北海道をヨットで無寄港1周するという無謀な冒険に出た主人公、泊哲郎役に文字通り“体当たり”で挑んだ俳優の石黒賢(43)に、作品の見どころや撮影の裏話などについて話を聞いた。 舞台は、かつてニシン漁で栄えた歴史ある港町、北海道の江差。東京のIT企業経営者、泊哲郎が彼の役だ。共同経営者の前島(山口馬木也)に裏切られ、亡き祖父(大滝秀治)の法要を機に故郷へ帰ることにした。高校時代の同級生、由紀(清水美沙)と再会した哲郎は「北海道をヨットで無寄港一周する」ことを宣言。由紀は東京から様子を探りにきた会社の部下・麻衣子(上原多香子)とともに、哲郎を追いかけて奇妙な女二人旅へ…という物語だ。 北海道の印象を聞くと「ロケの半分はヨットの上だったので」と笑う。 「でも、行ってみて初めて気が付きました。北海道の夏で一番気持ちいい時期って本当に短いんですよ、1週間あるかどうか。その時期にヨットに乗れて良かったと思います。それに夏とはいえ北の海は天候が不安定ですから、撮影スケジュールもクルクル変わりました。凪(なぎ)で風がピタッと止んだかと思えば急に雨が降り始めたり。短いスパンでいろんな出来事が起こるんです」 撮影は江差を中心に行われ、7〜8月に4週間ほど滞在したという。 「江差の町は独特でした。正直言って町の歴史に不勉強でしたし。江戸時代は大都会で、町の方とお話すると皆さんからプライドや矜持(きょうじ)が感じられます」 劇中に江差の盛大な祭礼のシーンが登場する。実際に祭りが行われている中にカメラを持ち込み撮影した。 「お祭りを実際に味わえて楽しかったです。江戸時代は北前船のおかげで京都に近い町だったそうです。江戸よりも公家文化なんですね。だから高貴だし、気位の高い町だと初めて気付かされました」 哲郎の旅には、実はある目的があった。それは祖父の位はいを国後島に埋葬すること。 「この場面は映画の中核になるシーン。自分としては、国後近辺に到着する前に、洋上で位はいに語りかけるシーンに注目して欲しいですね。じいちゃんへの思いや、自分の葛藤や苦悩を一人になって吐露する。このシーンがあったからこそ、次の国後の場面が生きてくると思ってます」 俳優としての雰囲気からヨットに乗り慣れているようなイメージを受けるが、実際に操縦するのは実は初めてだったそう。 「撮影前に2度ほど練習した程度かな? それで本番に臨みました。ヨットの操縦は基本的に楽しかったなぁ。セールで風を受ける感触が何とも言えないですね」 撮影に使用された「カモメ二世号」は24フィートと、一人乗りにしては意外に大きな船だ。 「船内にはキャビンもトイレもあるし、本当は一人じゃ大き過ぎるんです。でも、撮影スタッフも同乗していたので撮影中は狭かったですね。スタッフはキャビンに閉じ込められ、フタされて揺すられている状態なので、皆さん青い顔してました」 撮影中の操縦そのものは特別な技術を要するようなものではなかった。 「サトウトシキ監督が描く“絵”のイメージに合わせて、どの向きでカメラのフレームに入り、そして出ていくかだけ。でも結局それは風任せ(笑)。やはり天候次第なんです」 また、物語のカギを握るのが相手役の由紀。清水美沙の演技にも感心したと語る。 「夕陽のいい時間を狙ってキスシーンを撮影したのですが、日が早く沈むので取り直しができない。でも彼女はワンテイクOK。上手な女優さんですから不安はありませんでしたが、それにしても見事でした」 さて、20代のころは頼りなげで二枚目半的な好青年の役が多かったが、今や40代半ばとなった。 「20代は数多くのジレンマがありました。30代になって、ようやく自分のやりたい役をいただくことが多くなってきて。でも、昔から“男は40代”って思っていましたし。ようやく自分も40代になったことですから“男ってこういう感じだよな”って面を出せるようになりたいですね」 この春からはテレビの情報番組で司会も務めている。 「生放送は緊張感がありますが、実は芝居と根っこは同じなんじゃないかと。芝居は台本を読んで、実際にはないことを自分の中からギュッと絞り出して表現する。生放送は瞬間瞬間で思うことを絞り出す。それぞれ面白みがありますね」 映画には小泉純一郎流“新自由主義”の否定と自然への回帰というテーマも垣間見える。しかし、石黒自身には“こう見て欲しい”といった押し付けがましさはない。 「自分の人生ですから、スイッチを入れるのも切るのも自分次第。人生ってリセットできるものではありません、過去があっての今だと。人生にムダはないと思います」<プロフィール> いしぐろ けん 1966年1月31日、東京都生まれ。成城大学卒。83年ドラマ「青が散る」(TBS)でデビュー。今年9月開始のNHK連続テレビ小説「ウェルかめ」に出演決定。映画デビューは86年「めぞん一刻」。現在、TBSのワイドショー「ひるおび!」の水曜日でレギュラー司会を担当。
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トレンド 2009年06月01日 15時00分
高橋四丁目の居酒屋万歩計(1) 「ダイヤ菊」(だいやきく、居酒屋)
JR・東京メトロ銀座線、新橋駅から徒歩70歩 映画監督小津安二郎が愛してやまなかった酒、ダイヤ菊。長野県茅野市にあるダイヤ菊酒蔵によると、その命名は金剛石であるダイヤモンドと、日本の秋を象徴する菊と、良いものをふたつ並べたのであると。 「酒蔵 ダイヤ菊」は昭和26年に新橋駅東口に直営店を開き、46年にこの場所に2号店を開いた。酒の名を名乗る東京唯一の特約店は、ほかのブランドは置かない。店は父から娘へ継承された。そうして、新橋という立地がいい。北鎌倉に住んでいた小津も、ここへなら一本で来られる。 小津は、後期の名作群を共同執筆していた脚本家野田高悟と、蓼科にある農家風の大きな別荘「無芸荘」にこもって、書いては飲み、飲んでは書き、脚本一本しあがるころには「天の美禄」ダイヤ菊の一升瓶30、40本を空にして、ずらりと並べてその戦果としていた。 「蓼科の夜中、二人の初老の男がクックッと笑いながら書いていたに違いない」(「小津安二郎日記」都築政昭著、講談社)シナリオとは、たとえば最後の共同執筆作となった「秋刀魚の味」のラストシーン近く。娘の結婚式を終えて礼服のまま知り合いのバーに立ち寄った笠智衆が、「今日はどちらのお帰りーーお葬式ですか」とママに問われて、「うーむ、ま、そんなもんだよ」と答える場面だろうか。 松竹を、小津を離れた、映画監督吉田喜重氏でさえも、「最後に到達した小津さんらしい至芸の諧謔ぶり」(「小津安二郎の反映画」岩波書店)ともらす、だれも文句のつけようがない脱帽の台詞。 このシナリオの執筆中に小津の母が他界する。小津は生涯独身。散髪屋で結婚の話題を振られて「不愉快なり」などと若き日の日記に書いているような男で、母は最愛の母であった。葬儀を終えて蓼科へ戻った小津は、日記に書く。「もう下界はらんまんの春、りょうらんのさくら。此処にいてさんまんのぼくは『さんまの味』に思いわずらう。さくらはぼろの如く憂鬱にして、酒はせんぶりの如くはらわたににがい」。酒はいつも甘露ではなく、これもまたダイヤ菊の味だった。 ところで隣席のカウンター客が気になってならない。この青年、どうみても小津ファンなのだ。さっきから挙動が怪しい。満足げな顔が怪しい。わたしに親切なのがさらに怪しい。 キミね、わたしはね、小津映画は好きだけどファンじゃない。どう違うか? んなことどうでもいいの。ダイヤ菊に飲まれてもいいけど、小津安二郎に飲まれてはいけないよ。 いくら三上真一郎氏(俳優)が、小津監督のダイヤ菊のお燗が「決まって温度は55度」と証言しているからといって、お店にそんなこと要求しちゃいけない。 ええっ、してくれるの! じゃ、わたしもそうしてもらおうかなっと。(注・してくれませんのでそのように)予算3000円東京都港区新橋2-16-1 ニュー新橋ビルB1
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トレンド 2009年06月01日 15時00分
高橋四丁目の居酒屋万歩計(2) 「津國屋」(つのくにや、居酒屋)
JR田町駅から徒歩670歩 慶応義塾大学三田キャンパスの足下に、木造二階建ての面構えのいい居酒屋がある。入り口の両側に、それぞれ一畳はあろうかと思われる藍染め地が、2枚張られている。それが目印。1枚は「酒処」、1枚は屋号「芝 三田 津國屋」。それぞれ白く染め抜かれ、折からの風にあおられて、生きのいい魚のようにばたついている。 福沢諭吉が作った江戸随一の英学私塾が、慶応4年(1868)に芝に移転して、慶応義塾。同年、元号が明治に改まり、そろそろ津國屋に酒林が下がる。ここはそのむかし酒屋だった。 諸国の酒は半紙に墨書され、出身や特性は赤い墨汁(こうとしか言いようのないあの朱文字)で添え書きされている。ここでは居酒屋にありがちな雑多さは嫌われて、それらはあくまで整然と貼られ、代々そのような商いをしてきたのか、半紙もまた清浄である。 誰何(すいか)される。予約ではない、と応じる。ならば、としかるべき卓へ導かれる。男2人が頬を緩める、至上の瞬間がきた。まず「千代の光」をそう言う。相方は「酔鯨」から始めるようだ。いずれも特製の海の色をしたガラスのお銚子に移して供される。次に「加賀の庄」をそう言う。その次の「月に雁」が大当たりだったので、すかさず追加。秋田の酒であることを朱文字に教わる。 あては、きうり漬け、飛び魚の刺身、あじす(鯵酢)、メンチカツ、鯛頭。いずれも外れはなし。 腹もくちくなり、互いに顔に赤い墨汁が差してきたので、そろそろ上がろうとすると、女将が「本日のお品書き」というコースメニューを持ってきた。九品で2400円なのだという。 今夜の勘定は2人で6000円だったので、コースでもよかったようなものだが後の祭り。このコースを10組以上のお客に時間差で出していくのは手間だろう。料理は注文されてもすぐ出来ない場合がある、と釘をさされたのはそういうことだったのかと納得。後ろ髪引かれた「本日のお品書き」とは、一、前菜 いか薩摩揚げと厚焼き卵の盛り合わせ一、お刺身 旬の刺身盛り合わせ一、サラダ 厚揚げと水菜のサラダ一、煮物 ふろふき大根帆立貝のあんかけ一、オーブン焼き 帆立貝のガーリック風味オーブン焼き一、揚げ物 鳥唐揚げとメンチカツの盛り合わせ一、本日の一品 鳥もも肉の照り焼き 温野菜添え一、お食事 オムソバ一、香の物 香の物の盛り合わせ なんとも、堪(たま)りませんな。隣の卓では慶応義塾大学国際センターの「アジア・オセアニア文化研究所」(そんなものがあるかどうか知りませんが)帰りとおぼしき、日本人および異国の方々が男女織り交ぜて、まずは前菜からおいしそうに食べてらっしゃいました。 女将の後出しはまだ続いて、昼の定食もおさおさ怠りない物を供しているのでよしなにという。そうでしょう、そうでしょう。そりゃ、そうでしょうよ。予算3000円東京都港区三田2-16-8
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トレンド 2009年06月01日 15時00分
高橋四丁目の居酒屋万歩計(3) 「やき屋」(立ち飲み)
JR中央線、荻窪駅北口から徒歩130歩 着座するや挨拶もそこそこに酒を飲み始めるので、新入会員が肝をつぶす俳句結社「れいの会」の月例句会は、モダーンアパートメントハウスを併設する荻窪の瀟洒な旅館西郊で開催されている。 2000年(平成12)秋に始めた句会はすでに100回を越した。その間には物故者2名、見解の相違で袂(たもと)を分かった同人1名、俳句に満腹したと卒業宣言した同人4名、食傷したと自主退学していった同人2名、兼題(宿題)が面倒くさくなってずる休みに入ったまま現在に至る同人5名、姿を消した。 それでもなんとか、まだ毎月8人は参集するのだからしつこい、いや熱意がある。 月例会にはひとり5句を提出する決まりなので8人出席なら全40句。その中から詠み人が明かされない5句を選句し、さらに持参した土産を授与すべき特選1句を選ぶ。自分の句が座で選者から読み上げられ、密かに得点を重ねていくのは嬉しいが、1点も入らなければ軽く傷つく。座を捌(さば)く宗匠が、選句の理由をそれぞれに尋(たず)ねる。選句しておきながら選者という者はどこか批判的で、土足でアーチストの感じやすい心にずかずかと上がり込んでくる。その丁々発止は4時間に及ぶ。 最後の最後に詠み人が明かされたときには喧嘩寸前になったこともある。清記という、たがいの筆跡を消し去るために分けあって清書する作業も、得てしてトラブルの種になる。あってはならないことなのだけれど、漢字を写し間違えたり、てにをはを違(たが)えたりすることもある。そんなときには、救いようのない駄句の作り手ほど激高するものだ。わたしだ。これこそ、本当にあってはならない。座の文芸は、遊びとして高い自制心が要求されるのである。さて、カッカと火照って一向に冷めやらぬ頤(おとがい)と頭をクールダウンさせるのは、またしても酒。皮肉と自嘲と強弁と言い訳がないまぜになった、口角泡を飛ばす老人の主張を聞いてくれるのも結局一座の連中でしかなく、事実上クールダウンなど出来はしない。 しかし(1)、やき屋は、立ち飲みなので適度にくたびれる。そうして(2)、やき屋は、いつも混んでいるので長居はできない。だからちょうどいい。おまけに(3)、やき屋は、イカ料理の専門店でありながら驚くほど安い。 「れいの会」の宗匠は俳人明石令子さん。<蒲公英のはびこり少女出奔す>という句で、師である藤田湘子氏主宰の俳句専門誌「鷹」の、平成元年の新人賞を獲得されている。明石令子さんの師匠が、藤田湘子。藤田湘子の師匠が、水原秋桜子。水原秋桜子の師匠が、近代俳句の始祖正岡子規。われわれは令子宗匠の弟子なので、僭越(せんえつ)ながら子規のひ孫弟子ということになる。 「れいの会」が、アラカン(還暦でこぼこ)男たちの老後の無聊(ぶりょう)をかこつ、そのために発案されたことは言うまでもない。ちゃんとした宗匠さえ見つけられれば、句会は誰にでもできます。予算1400円東京都杉並区上荻1-5-6
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