まず、中田は打撃好調だ。去就問題で揺れた昨年オフ、残留を決めた後、栗山監督は奮起を促す意味で「主将」に任命した。そこに加えて、清宮との競争だ。オープン戦は3本塁打と爆発した。開幕カードは「やってやる」との思いが空回りしたようだが、首脳陣も「調整の範囲」とさほど心配しておらず、「中田中心の打線」というビジョンは変わらない。
「清宮はキャンプインしてすぐに、スローイングの修正を課せられました。こちらはまだまだといった感じでしたが、肝心の打撃面では、病気がむしろ幸いしたようです。余計な力が抜け、スイングスピードも増しています」(同)
守備が一軍レベルに達するのはちょっと先になりそうだが、打撃面は早く仕上がりそうである。ならば、「一塁・中田、DH・清宮」というスタメンも十分に考えられる。
「新球場問題も清宮の追い風となりそう。確保できる土地の広さで北広島市への移転を決めたとのことですが、同市の人口は約5万9000人で現本拠地の札幌市は約195万人。地元の青年団は駅前で札幌残留の署名運動を続けていました。どちらかというと、ファイターズが移転してしまうガッカリ感はなく、反感は地元行政に向けられているようでした。よって球団の課題は、札幌市在住のファンにも北広島に造る新球場に足を運んでもらえるかどうかでしょう」(スポーツライター・飯山満氏)
そう考えると、18歳の黄金ルーキーは札幌でデビューさせた方が都合がいい。
「“札幌の清宮”を印象付け、北広島でどう羽ばたいていくか」という図式を作れる。この点が、新球場の課題だろう。
「新球場は球団、関連会社などで立ち上げた新会社『北海道ボールパーク』が牽引していきます。その出資会社には、電通も加わっています」(飯山氏)
当然、金の卵を二軍に寝かせておくはずがない。
中田が好調なら、打線に多少の無理は利く。また、V戦線離脱となれば、日ハムの若手で唯一の4番タイプである清宮を、そこに据えて冒険することも可能だ。
清宮の誕生日は5月25日。その前に札幌在住ファンへの罪滅ぼしと、北広島市への客引きとして、“18歳の4番”という夢を演出してくるかもしれない。
「持っているオトコ」はすべてを味方に変えてしまう力を持ち合わせているようだ。