川崎市の岡﨑彩咲陽(あさひ)さんは、昨年12月、元交際相手の白井秀征被告からのストーカー被害を警察に訴えた後に行方不明となり、今年4月、白井被告の自宅から遺体で見つかった。
岡崎さんは、12月9日から20日の間に、県警に9回にわたって電話で相談していた。このうち3回はつきまとい行為を訴えるもので、安全を早急に確保する必要がある「人身安全関連事案」に該当するが、3回とも記録は残されていなかった。
県警は、一連の対応についての検証の結果、警察官が危険性や切迫性を過小評価し、不適切な対応により、岡崎さんの安全を確保する機会を逃したと認めた。「人身安全関連事案」に対応する体制が形骸化しているなど、組織的・構造的な問題点があったことも指摘している。
和田薫県警本部長は、記者会見で「県警察の最高責任者としてこのような事態を招き、県民の皆様の信頼を損なうこととなり責任を痛感している。改めておわび申し上げます」と謝罪。対応にあたっていた川崎臨港署の署長と副署長を「戒告」とするなど、捜査員ら40人を処分する方針で、一度の処分としては異例の人数になった。
ネット上では、「数でごまかしているだけ」「さぞ重い処罰だろうと思ったらびっくり」「せめて第三者機関が検証してほしい」「形式的な謝罪や処分だけでは意味がない」など県警に対して批判的な声が数多く上がった。
県警の検証結果を踏まえ、警察庁は全国の都道府県にストーカー事案の「司令塔」となる幹部の設置などを求める通達を出した。警察庁の通達が、ストーカー事案に適切に対処し、被害を減らすための抜本的な対策につながっていくのか注視したい。