同作は作家・吉田修一氏の小説が原作。任侠の家に生まれた、吉沢亮演じる喜久雄が、渡辺謙演じる歌舞伎役者に引き取られ、歌舞伎の女形となり、やがて人間国宝へと上り詰めていく物語。喜久雄の親友・ライバルである上方歌舞伎の名門の御曹司・大垣俊介を横浜流星が演じている。
6月6日から公開された同作は上映時間約3時間の大作だが、公開52日間で観客動員538万人、興行収入75億9000万円。興行収入100億円を射程に入れている。
日本の歴代興収ランキングの中で、実写映画が100億円を超えた例は過去に3本のみ。2002年「踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」(173.5億円)、1983年「南極物語」(110億円)、1998年「踊る大捜査線 THE MOVIE」(101億円)で、「国宝」が100億円に達すれば、23年ぶりの快挙となる。
そんな話題作だけにロケ地巡り(聖地巡礼)をするファンが増えているという。映画で歌舞伎の劇場の一つとしてロケ地に選ばれた京都の先斗町歌舞練場、歌舞伎の本拠地「日乃本座」のロケ地となった滋賀・大津市のびわ湖大津館、劇中、たびたび登場する大阪・柏原市の玉手橋、兵庫・豊岡市の芝居小屋・出石永楽館などに訪れる人が急増しているそうだ。
「出石永楽館は映画公開後、女性客を中心に来館者が増加。7月11~13日の3日間は約700人が訪れ、例年の同時期の約4倍だったとか。館内では撮影に実際に使用された小道具などを特別展示しています。びわ湖大津館も撮影で使用された絨毯の一部をそのまま残したり、撮影の様子がわかる写真パネルを展示しており、1日に10~20人のファンが訪れるといいます」(芸能ライター)
近年、ロケツーリズムによる地域活性化を目指す動きが盛んになっているが、「国宝」もロケ地の経済効果に貢献しているようだ。