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本好きのリビドー

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提供:週刊実話

◎悦楽の1冊『振仮名の歴史』今野真二 岩波現代文庫 1040円(本体価格)

★振仮名が日本語表現に与えた豊かさ

 文化と書いて「ハニカミ」とルビを振る。こう云ったのは太宰治だが、同じ昭和の昔、谷崎潤一郎が歌舞伎の演目に苦言を呈した一幕があったとか。

 他ならぬ作品の題名のことで、たとえば「義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)」は表記そのまま素直に読めるタイトルだから構わないが、やれ「盟三五大切(かみかけてさんごだいせつ)」だの「色彩間苅豆(いろもようちょっとかりまめ)」だのとなるととてもルビなしでは判読できない。それはいかがなものかとの疑念だがひとまずさておき。まさに日本語の文字表現としての独自性を象徴する振仮名=ルビ(なぜこう呼ばれるかも文中で明らかに)が果たしてきた機能を歴史を遡って多角的に紐解くのが本書。

 単に読み方や発音を指示するのみでなく、一つの言葉に多様性と彩りを与え、かすかなニュアンス、語感の違いを伝えると共に、外国語の場合はその翻訳的側面まで担ったのこそ振仮名だと説く議論は極めて納得がゆく。

 またメッセージを発する側が受け手の側に“こう読んで欲しい”希望を意味するのも大事な役割で、確かに映画の題名でも「縄張(シマ)はもらった」「拳銃(コルト)は俺のパスポート」あるいは「私刑(リンチ)」などその典型例。アニメ化された人気漫画「聖闘士星矢(セイントセイヤ)」だって、「セイント星矢」ならファンにとっては雰囲気ぶち壊しだろう。ひと時代前の演歌の歌詞なら「女」を「ひと」と読ませ、「漢」と記して「おとこ」と読ませたがったもので、まこと切りがない。

 本来輸入品である漢字自体にせよ、「峠」や「鮨」などの国字(和製漢字)が次々に生まれた伝統も、振仮名隆盛の背景にあったのではないか。でなくば「魚偏に○○と書いて何と読む?」という、おなじみの遊びはあり得ない。ちなみに「魚偏に69と書いて、アイナメ」これは高田文夫氏の大傑作。
(居島一平/芸人)

【昇天の1冊】

 コロナによる自粛が生んだ副産物が、テレワーク。「tele=離れた所」「work=働く」を組み合わせた言葉で、自宅にいながら上司・同僚、取引先と会議や交渉をする。

 ただしパソコンはいわずもがな、モニター、ヘッドホン、マイクなど最低限のツールは必要で、まずそこから揃えなければならない。オヤジ世代にとってはそこが第一歩。そんなテレワーク超ビギナー向けに分かりやすく解説してくれた1冊が『テレワーク大全』(日経BP社/2000円+税)だ。

 今やテレワークに乗り遅れると会社の未来はないくらいに世間はあおり立てているが、同書の特徴はテレワークの欠点も説明しているところにある。生産性が下がったという意見が6割以上、自宅の模様がカメラに映ってしまいプライベートが丸分かりになってしまう、仕事とサボリの区別がつかない等々。

 つまり、現時点でのデメリットも挙げつつ、今後はテレワークと出社とが並行せざるを得ない時代に入るのだから、今のうちに学んでおこうという主旨が読み取れるのだ。これならオヤジも理解できそうだ。

 日本人の仕事が一気にテレワークにシフトするとは考えられないが、オヤジたちのITオンチぶりを「昭和脳」などと揶揄する風潮もある。時代に対応できるだけの情報は持っているべきだろう。それにしても、テレワークは「在宅勤務」という言葉でいいはず。何でも横文字を使えばいいってもんじゃない…と。これも昭和脳だろうか?
(小林明/編集プロダクション『ディラナダチ』代表)

【話題の1冊】著者インタビュー winpy-jijii
Life is Camp winpy-jijiiのキャンプスタイル 玄光社 1,600円(本体価格)

★キャンプ場では自分が見本となる行動を

――最初にキャンプを始めたきっかけは何だったのですか?
じじい 高校1年生の時に友人がワンダーフォーゲル部でクラブ活動をしていて、私は他の部でしたが、その友人からクラブのザックを借り、中学時代からの仲間6人でキャンプをしたのがきっかけです。それからキャンプにハマってしまい、気が付けば、キャンプ歴は50年以上になってしまいました(笑)。
 中でも好きなのはオートキャンプですね。リアーゲートのあるバンタイプやワゴンタイプの車ばかりを乗り継いできました。最近は登山やサイクリングなど、身体を使うアウトドアも楽しんでいます。

――現在、YouTubeの動画チャンネル登録数は17万人を超えています。大人気になっていますね。
じじい 最初はPCを買ってバイクの改造記録動画を自分のホームページで公開していました。その後、定年旅行でコンデジカメラのおまけ的な動画機能を使い始め、動画ならば楽しかった思い出が家族ですぐに見られることに気付き、YouTubeにアップするようになりました。
 動画配信で心掛けているのは、同じ様なコンテンツでも見せ方を変えることですね。工作動画などはダラダラしないように、早回しやカット割りで進めています。また、工具は高価な特殊工具を使わずに、誰でも安価で購入できるモノを使うことを心掛けていますね。

――最近はキャンプが大ブームになっています。使用する道具選びのコツを教えて下さい。
じじい 今は情報時代なので、まずは気になるモノを徹底的にYouTubeの動画で確認するといいでしょう。性能・使いやすさ・コスパ・それ以外に紹介者がどんな気持ちでこの商品を買ったのかを読み取れば、ハズレのない道具選びになると思います。

――ブームの裏で、キャンプ場のマナー違反が問題になっています。心構えなど注意点はありますか?
じじい 最低限キャンプ場に書かれている注意事項は守って下さい。後はゴミの持ち帰りですね。「他人のふり見て我がふり直せ」ではなく、自分が周囲の見本となる行動を取ることです。キャンプ初心者の方は、始めから一気に道具を揃えなくても、少しずつ準備していけば大丈夫。
 最初はできることは限られているでしょうが、その時にしかできない楽しみや風景があります。少しずつ経験を重ねていけば、最終的にはいろいろなことができるようになります。楽しみもどんどん増えていくと思いますよ。
(聞き手/程原ケン)

winpy-jijii
昭和25年生まれ、大阪難波出身。チャンネル登録者数17万人超えの人気アウトドアYouTuber。定年後に同じくアウドドア好きな奥さんとの思い出を残したくてYouTubeを開設。ジジイとは思えぬおしゃれなセンスが大人気になっている。

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