「日本進出を画策していたアメリカやマカオ、シンガポールのカジノがコロナ禍で壊滅状態となり、日本のIRカジノに投資する余裕がなくなっているのです」(経済ジャーナリスト)
トランプ大統領の大口スポンサーといわれ、横浜での参入を目指していた世界最大のカジノ運営会社『ラスベガス・サンズ』が5月13日に撤退を表明。同じくアメリカのカジノ運営会社で、大阪での参入が有力視されていた『MGMリゾーツ』の撤退も「時間の問題」(在阪テレビ局の報道記者)だというのだ。
「MGMは、かなり前から『大阪オンリー』を公言し、IR誘致のトップランナーを自負する大阪の吉村洋文府知事と“相思相愛”でした。新年早々に吉村知事が参入業者を公募し、応じたMGMは4月下旬に事業計画の提案書を提出する予定だったのですが、期限までに提出できないと通達。大阪への参入断念が確実視されています」(同・記者)
アメリカでは、商業カジノと部族カジノ(インディアン・カジノ)を合わせて1000近いカジノ施設が営業停止となり、再開の見通しも立っていないという。
「ラスベガス・サンズに見捨てられた横浜市は、マカオやシンガポールのカジノ運営会社にすがろうとしているが、世界中のカジノがコロナで壊滅状態になっています。どこも日本のカジノに投資する余裕はありませんよ」(世界のカジノ事情に詳しい金融アナリスト)
そもそも、カジノ汚職事件で昨年末に秋元司衆院議員が逮捕され(2月に保釈)、IR誘致に対して反対の声が高まりつつあった。
「今回のコロナ自粛期間中も、営業を続けたパチンコ店に長蛇の列ができ、あらためて『ギャンブル依存症』の問題もクローズアップされました。今後、カジノを誘致しようとしても、そんなことより優先すべきことがあるとの世論が大勢を占めるでしょう」(政治記者)
万が一、来年の東京五輪も中止になり、カジノ計画も頓挫すれば、日本は立ち直れなくなる。