試合後、田南部コーチは「伊調のポイントになるべきところをなかなかポイントにしてくれない。ひど過ぎる。伊調本人も試合中に心が折れた」とコメント。これが協会批判と取られ、田南部コーチには半年から1年の試合会場への出入り禁止処分の可能性も浮上している。
伊調は2018年1月に発覚したパワハラ問題で、栄和人元至学館大監督とは袂を分かっているが、今回の敗北で、関係者の間からはくすぶっていた“栄待望論”が復活しているという。
「伊調は潔く川井の実力を認めましたが、実は試合会場の応援席には、愛弟子である川井の姿を見守る栄氏の姿が目撃されています。今回、田南部コーチが審判に暴言を吐いたことで、今まで伊調を擁護していた声が急速にしぼんでいます。処分が長期に渡ることになれば、伊調の選手生命も終了となってしまう可能性もありますよ」(スポーツ紙記者)
セクハラ問題で監督をクビになった栄氏は、現在、非常勤ながら再び至学館でレスリングを指導している。指導を受けている選手の中には今回、伊調を破った川井もいて、選手からの信頼はセクハラ発覚後も揺るぎないというが…。
「セクハラに関しては栄氏に問題があったのは確かですが、その一方で、至学館関係者や選手からは『やはり栄さんじゃないと監督は務まらない』という声も根強いんです。今回、田南部コーチが試合中に激昂したことで、その資質を疑問視する声が上がっています。結局、伊調自身が直接、栄元監督のセクハラを告発したわけでもなく、このまま田南部コーチが失脚すれば、栄氏の表舞台復帰も現実的になってくるかもしれません」(同・記者)
至学館大学の谷岡郁子学長は、今大会で栄氏にセコンド役を申し入れていたそうだが、最終的に協会から“時期尚早”と却下されてしまったという。果たして今後はどんな動きになるのだろうか。
「現在、次期レスリング協会会長の最有力といわれている元モントリオール金メダリストの高田裕司専務理事兼副会長は、同じ副会長の谷岡氏とは、子ども同士が結婚したことで親戚関係にあります。また、高田氏の日体大の後輩が栄氏であることからも、一枚岩なのは間違いありません。東京五輪に向けて大きな動きがあるかもしれませんね」(同)
何はともあれ実力がモノをいう世界。伊調の五輪5連覇達成は絶望的と言わざるを得ないだろう。