その一方で、党内からの退陣要求が高まれば、いばらの道が続くであろう。参院選で与党は改選議席の計66を47に大幅減少させ参院全体の過半数を割り込んだため、自民党内には総理の責任を問う声が噴出している。この結果に総理は、「公明党以外の政党とも真摯(しんし)な議論を通じて、国難を打破できる新たな政治の在り方について一致点を見いだしたい」と強く訴えた。
今月に行われたNHKの世論調査によれば、石破内閣への支持率は31%と低迷している。まさに窮地に追い込まれた総理だが、かねてからの“失言”もその原因のひとつではないだろうか。
9日、総理は千葉県船橋市の街頭で選挙演説を行ったのだが、米・トランプ政権との関税交渉を巡り「国益をかけた戦いだ。なめられてたまるか」と息巻いたのだ。そして、「言うべきことは、たとえ同盟国であっても正々堂々言わなければならない」と米政権への不満を語っていたが、一部報道では「歴史上最大の失言」と論じられている。
これを受け総理は10日、夜のBSフジ番組で“失言”の意図を説明。総理は、「(米国に)いっぱい頼っているのだから言うことを聞けということだとすれば、それは侮ってもらっては困るということだ」と釈明した。
しかし12日、ABCテレビ情報番組「教えて!ニュースライブ 正義のミカタ」に出演した元内閣官房参与で京大大学院教授の藤井聡氏は、「日米関税交渉はこれで完全に決裂する」と断言。そして、この発言により「トランプの日本に対する『敵対的』外交展開が決定的となりました」と分析し結果、「このつまらない首相の『失言』一つで、相互関税は文字通り25%どころか30%や35%に引き上げられても致し方ない状況に日本は追い込まれました」と厳しい見解を述べている。
「総理は、7月2日も“失言”で国民から批判を受けています。都内の日本記者クラブ主催の8党党首の討論会で、外国人への政策を語った際に日本語や日本の習慣を『七面倒くさい』と発言。さすがに、党首討論に出席していた参政党の神谷宗幣代表もXで『ここは私も思わず、《何言うとんねん》と呟いてしまいました』と非難の声をあげる始末、立憲民主党の原口一博衆院議員は『日本語のどこが七面倒くさいと言うのか?日本の習慣のどこが?』と抗議するなど、大いにネットを賑わせたのです」(後援会関係者)
3日の「日刊スポーツ」では、総理の発言について「日本語や日本の習慣が独特で、一般的に修得の難易度が高いとされていることを念頭に、自虐的なニュアンスを入れた発言」といった見解を示している。
高額療養費制度をめぐっては二転三転するなど、何かと頼りのない総理に国民は日本の将来に「不安」以外、しっくりくる言葉のほかにあるだろうか。