「やはり事業家であり続けたい」
前澤氏の社長退任は、球界にも影響を残しそうだ。
「千葉ロッテの本拠地球場の命名権を取得しているのは、ZOZOです。ヤフーとは、ソフトバンク社のことも指している。ホークスの本拠地も『ヤフオフ!ドーム』というネーミングを使っています。ZOZOがヤフー傘下になったことで、ソフトバンクは2球団分の球場の命名権を持つことになり、是か非か、今後、オーナー会議で協議することになりました」(スポーツ紙記者)
ただ、球団所有ではなく、命名権なので、容認される模様。その権利買収額は2016年12月から10年契約で約31億円だ。ロッテ球団が手放したくないと思うのも当然で、これは羽振りがよかった頃の前澤氏が「ポケットマネーで出した」とも言われている。命名権存続が容認されれば、前澤氏の影響は球界に残るわけだ。
「前澤氏は2018年7月、球団買収の計画をブチまけたことがありました。その後もプロ球団を持つための調査を続けていました」(同)
旧態依然とした日本球団のオーナーになるのは大変だが、一方で、メジャーリーグは、さほど難しくない。というのも、MLBは近い将来、30球団から32球団に拡大する計画を進めているからだ。
「ポートランド、ラスベガス、カナダのモントリオールやバンクーバー、さらにはメキシコなどの候補地がいくつかありますが、本命不在です。大企業や著名人が参入すれば、膠着状態は一変すると見られています」(特派記者)
前澤氏で思い出されるのは、昨年9月に民間人初となる月旅行の権利を買収したこと。こちらの事業はアメリカ・テキサス州に研究基地があり、現地での会見のついでに、新球団本拠地として立候補したテキサス州サンアントニオ、オースティンの様子を探ってきた可能性は捨てきれない。
「前澤氏は個人的な借金があり、それを清算するのに現金が必要となったようです。当面は月旅行のための訓練に当てられ、無一文になったわけではなく、絵画や高級車などの資産は残っています。新事業とのコラボ案を出せば、MLBも前向きに検討できます」(同)
気になるのは、社長退任の会見にも駆け付けた孫正義氏との関係だ。肩を抱き合い、軽口を叩き合っていた。ソフトバンクホークスのオーナーとして孫社長は、球界参入当初からサッカーのクラブ世界一を決めるクラブカップのような大会を野球界にも設けたいと思っているという。
前澤氏のメジャー新球団計画が進めば、孫オーナーの応援も必至だ。NPBも前澤氏には好印象を抱いており、新事業に野球界の発展が絡むのなら、後方支援も得られるだろう。フリーになったことで、球界参入の夢はむしろ加速すると見る関係者は少なくない。