社会 2025年06月26日 17時49分
「農水省のガイドラインに反する」 小泉農水大臣、「完全無農薬」の田んぼ視察ポスト物議
小泉進次郎農林水産大臣が6月25日にX(旧Twitter)で、「完全無農薬での稲作」を始めた田んぼを視察したと報告し、ネット上で物議を醸している。小泉大臣は、Xで「白米千枚田を視察。私は田んぼのオーナーで昨年は田植えにも来ました」と、石川県輪島市の棚田を訪れたことを報告。さらに、「完全無農薬での稲作を始めた場所を視察しました」と明かし、「美しい棚田から、新たなお米の誕生…期待!」(原文ママ)とつづっていた。しかし、農林水産省が定めている「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」では、「無農薬栽培農産物」が表示禁止事項として挙げられている。その理由について農水省は、消費者にとって「一切の残留農薬を含まない農産物」という優良誤認を招くからだと説明している。小泉大臣のこのポストに対し、ジャーナリストの浅川芳裕氏は、「自らが所管する農水省のガイドラインに反する」と指摘。「農水省のトップがこの表現を用いるのは、自らのガイドラインを否定する行為であり、説明責任が強く問われる」と批判した。また、「生産者には厳格なルールを求めておきながら、自らはそれに反し、『通常の栽培方法により栽培された農産物より著しく優良又は有利であると誤認させる』言葉を公言するのは看過できない」と苦言を呈していた。一方、ネット上からは、販売段階ではなく、まだ栽培段階であること、小泉大臣がオーナーであることから流通しない可能性もあるという擁護の声も上がったが、浅川氏は、「農相は、農林水産省のトップとして法令順守の模範を示すべき立場にある公人であり、その発言は、産地や生産者に重大な影響を与える」と指摘した。さらに、浅川氏は「ブランド産地をPRする場で『完全無農薬』という表現を使えば、それが制度上も容認された表示であるかのような誤認を広め、適正表示に取り組む生産者の努力を損なう結果となりかねない」と懸念を示し、「こうした表現を農相自らが公言すれば、現場の表示指導や制度の正当性に疑念が生じ、ガイドライン全体の信頼性を損なう」とつづっていた。小泉大臣のポストにXからは、「農薬を悪にするなよ」「頼むから投稿する前に有識者から推敲してもらってくれ」「さすがに訂正すべきじゃないですかね」という声が集まっている。