社会 2025年08月28日 09時00分
中国資本傘下の火葬場運営会社が料金引き上げ、来年4月から区民葬でも8万7000円に
東京23区の火葬料金が高騰している。最低5万9600円だったが、来年度から8万7000円になるという。その理由は東京の特殊な事情がある。26日放送の日本テレビ系「ミヤネ屋」がレポートした。東京は地価も物価も高いので、火葬料金が地方より高くても驚きはしないが、東京以外は1~2万円なので明らかに高い。ただ、問題なのは急騰する理由だ。東京都23区内の主要な火葬場は9カ所あり、内訳は公営が2カ所、民営が7カ所となっている。そして民営7カ所のうち6カ所を運営しているのが「東京博善」という会社だ。同社の火葬料金は2020年まで5万9000円だったが、燃料の高騰などを理由に徐々に値上げされていき、昨年6月から9万円に引き上げられた。わずか3年半で1.5倍になった。厚生労働省は管轄する区に対し、火葬場の事業者への指導監督の徹底を求める通知を出した。昨年3月の東京都議会では立憲民主党の関口健太郎都議がこの実態を都に質した。新宿区や荒川区などは東京博善に立入検査を実施したものの、料金を規制する行政指導を行うことはできなかった。そして今月、東京博善は、低料金で葬儀を行える「区民葬儀」(区民葬)の枠組みから今年度で離脱すると発表した。区民葬は、区の代表や葬祭業協同組合などで構成する「特別区区民葬儀運営協議会」の指定を受けた葬儀業者が、協議会で取り決めた統一料金で行うものだ。「祭壇」「霊きゅう車運送」「火葬」などの料金が統一され、火葬は5万9600円。区発行の「区民葬儀券」で利用できる。東京博善ではこれが利用できなくなり、来年4月以降は一律8万7000円となる。東京博善の社長には長く宗教家が就き、半ば公共性が担保されてきたが、2020年に広済堂HDの完全子会社となった。広済堂HDの株式の過半数は中国系投資ファンドが取得していることから、東京博善は間接的に中国資本の支配下に入っている形となる。全国的には、使用されている火葬場の97%が自治体の運営となっている。高齢化多死社会を迎え、火葬場は公共性の高いインフラとも言える。そこにビジネス優先の外資が入ってきたことでゆがみが起きているわけだ。東京博善の発表を受け、東京の区長会は23区共通の助成制度の創設を決定した。助成額や手続きなどは後日公表するとしている。番組コメンテーターの野村修也弁護士はこう指摘する。「インフラで利益を上げていいのかどうかという議論がまずある。公共の福祉、公衆衛生という観点から運営できる事業者に任せるべき。中国はこれまで土葬だったものを火葬に変える傾向が出てきて、日本でノウハウを取ろうしているのではという話もある。日本人のインフラとしてはそういう利用され方はまずいと言うべきではないか」東京の火葬場は決して多くはない。火葬待ちで遺体が何日間もほったらかしにされるような状況だけはくれぐれも避けてほしいものだ。