「甲子園で躍動した球児を、甲子園で育てていく」
矢野燿大監督(50)らしい夢のあるビジョンだが、そこから弾き出されてしまったのが“元エース”藤浪晋太郎(25)だ。
「抽選で星稜の奥川恭伸を外しましたが、1位指名は高校生投手と決めていました」(球界関係者)
阪神が外れ1位で指名したのは、創志学園(岡山)の西純矢。マウンドで奪三振と同時にド派手なガッツポーズも見せる最速154キロ右腕だ。「高校生らしくない」「ヤンチャ」との批判も出たが、これは亡くなったお父さんへのメッセージだったことが判明。U−18大会中、マウンドを下りると無口で大人しい性格であることも分かり、ユニホームを着ると一変する戦士に、トラの未来は託されたのだ。
「西には、将来のエースに相応しい背番号を用意します」(同)
球団が西に提示する背番号は「19」が第一候補であるという。現在、19番を付けている藤浪は今季0勝。長引く不振から脱出の兆しも見えていない以上、逆らえないだろう。
「球界のエースと言えば、18番。『それを超える存在に』という思いを込めて、藤浪に託されました。ノーコン病、イップスが治らず、気分転換させてやった方がいいとの意見は球団内で何度も出ました。気分転換が『放出』の意味合いだった時期もありましたが…」(トラ番記者)
藤浪の危機的状況は変わらない。すでにキャンプでのマイペース調整権が剥奪されて久しい。それでも、危機的状況をバネに変えようとしないのは、二軍首脳陣にも問題があるようだ。
「今季、無期限の二軍調整を通達されてからなんですが、二軍戦で投げるか否かはすべて自己申告制。真面目に練習はしていますが、本当の意味で危機意識を持てないのでしょう」(同)
藤浪を指してよく言われるのは、「自分を持っている」の声だ。そのせいか、先輩やコーチの意見にも従わないことがある。
「かつて臨時コーチを務めた江夏豊氏の助言にも耳を貸しませんでした。今秋、キャンプで山本昌氏が指導します。その時の態度によってはもっと厳しい通達があるかも…」(在阪記者)
背番号をルーキーに明け渡すのは屈辱に違いない。しかし、それほどの劇薬を盛らねばならないとは…。
来季、この屈辱をバネに活躍できなければ、トラのメンバーから藤浪の名前さえ消えてしまう。