10月1日、千賀ノ浦部屋で体を動かし始めたとき、周囲やファンは貴景勝の内出血で赤紫色に変色していた左胸の傷跡を見て心配していたが、貴景勝は明るい表情で、いきなり左腕を使って腕立て伏せをするなど、全開モードだった。
負傷直後、「九州場所の出場は無理」と見られていたが、
「10月20日、兵庫県の姫路市で行われた巡業で、ぶつかり稽古を再開しました。1つ1つ感覚を確認し、十両の木崎海に対しては10分間近く厳しく稽古をつけていましたね。本人も『順調だと思う』とうなずいていました」(相撲ライター)
貴景勝はさらに「出る、という気持ちで日々を過ごしていかないと、治りも遅くなり、気の緩みも出る。(10月28日の)番付発表までが勝負だと思っている」と語り、出場には前向きのようだ。
ただ、すんなりと九州場所の土俵に立たせていいものか判断は難しい。というのも、貴景勝が痛めた左胸の筋肉は、今年の初場所でケガが治らず引退した、横綱・稀勢の里が2年前の春場所で痛めたところと全く同じ箇所だからだ。
「関係者の多くは、『あのときに無理して出場せず、じっくり治療していれば、今も元気で土俵に上がっていたのに…』と残念がっています。出たい気持ちも分かりますが、中途半端な回復ぶりでは同じように命取りになりかねません。ここはよくよく考えるべきでしょう」(協会関係者)
この“慎重論”の筆頭が師匠の千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)だ。今回のケガについても「まず完治に努めるべき」とブレーキをかけている。ただ、実はこの師弟、関係がしっくりいっていない。
「右ひざを痛めて2場所前に休場したときも、貴景勝は『休場すべき』という師匠の主張を全く聞かず、結局、受け入れるのに4時間半もかかっています」(担当記者)
今回もひと悶着あるのは必至のようだ。