「昨年12月、愛知県のスポーツ振興財団の要職に迎えられ、それを機に至学館大にも顔を出していました。国内大会でもスタンドから選手たちを見守り、今年8月のアジア選手権では現地入りもしていました。これは中央アジアのカザフスタンで開催された大会ですが、渡航費はすべて自費だったと聞いています」(スポーツ協会担当記者)
奇しくも、栄氏の退任以降、女子レスリングの低迷も始まり、先のアジア選手権では「初の金メダルなし」となった。栄氏の現場復帰は、東京五輪に向けての打開策とも言えそうだ。
「目下、代表コーチを務めているのが、栄氏が寵愛する吉田沙保里です。今の彼女はタレントですが、東京五輪が近づくにつれ、コーチ業に重点を置いていくのでしょう。栄氏と再びタッグを組み、指導者として再スタートすることになりました」(同・記者)
そこで気になるのは、吉田とライバル関係にあった伊調馨の出方だ。今年9月、世界選手権で敗れ、東京五輪出場の可能性は低くなった。伊調は今後についての明言を避けたが、「選手・指導者としてレスリングの発展に」とも語っていた。吉田と伊調の教え子たちが頂点を争う“シーズン2”が始まったと言っていい。
「伊調の五輪の夢を絶った川井梨紗子は、吉田にとって至学館大の後輩で、つまり栄氏の指導を受けています。そんな川井は伊調を尊敬しており、その思いから『勝ちたい』とぶつかっていきました」(関係者)
そんなさなかの11月27日、またぞろ騒動が起きた。川井が、出身地である石川県のレスリング協会で会長を務める下池新悟氏を、女性選手を見下す発言をしたとして批判したのだ。
「その発言とは、石川県庁での県スポーツ特別賞の贈呈式後の取材で下池氏が『石川県には五輪内定者が2人いる。しかし残念ながら女だ』などと述べたものです。川井は他にも、長年にわたる“嫌がらせ”を訴えました」(スポーツ紙記者)
五輪まであと8カ月だというのに、女子レスリングは波乱含みだ。