社会 2025年07月03日 17時45分
長岡花火大会に「無理して来ないで」と訴え オーバーツーリズムが話題に
ますます観光客が増え続ける中、日本のメディアでは、オーバーツーリズムの問題が取り上げられている。オーバーツーリズムは観光公害とも訳され、訪問客が過度に集中することで、その地域に悪影響を及ぼすことを指す。毎年8月2、3日に新潟県長岡市で行われる「長岡まつり大花火大会」をめぐっても、このオーバーツーリズムが話題になった。きっかけになったのは、新潟日報が7月3日に公開した「『誰のための長岡花火か?』路上駐車、チケット転売...相次ぐトラブルに、主催者が"来訪を呼び掛けない"異例のPR」という記事だ。花火大会を主催する長岡花火財団がチケットのない人に来訪を控えるようPRをし、対策したそうだ。財団の高見真二理事長(長岡市副市長)は「無料席がある頃から(路上駐車などの)問題はあり、有料化で改善してきたのは間違いないと思う。席数に限りがあり『無理して来ないで』と訴えるのは、やむを得ない面がある」と説明している。しかし、対策したにもかかわらず、路上駐車やゴミの放置、チケットの転売といった問題は収まらなかったそうだ。こうした状況に、長岡空襲の犠牲者慰霊の趣旨が薄まってしまう懸念もあるという。X(旧Twitter)では、「誰のための長岡花火か」がトレンド入りした。ネット上では、「地元民が近くで見れないのはどうかと思う」「趣旨を理解しマナーを守るべき」という声がある一方、「街に観光客は呼びたい、名の知れた花火にはしたい、でも花火には来ないで……は無理がある」などさまざまな意見が上がっている。先日、大阪選挙区から無所属での立候補を表明したミュージシャンの世良公則が公約として掲げるなど、オーバーツーリズム対策は参院選の争点になる可能性もある。当然、観光客の増加には、負の側面だけでなく、経済効果や雇用創出といったプラス面もある。観光地が抱える課題はそれぞれ違いもあり、一筋縄ではいかないだろうが、今後の対策に注目したい。