社会 2025年11月02日 08時00分
中国BYD社が軽EV「RACCO」を初公開 日本の軽自動車の勢力分布に変化を及ぼすか
中国の自動車メーカーBYDが軽自動車型EV「RACCO(ラッコ)」を世界初公開した。今後、日本の軽自動車市場に参戦する。日本のメーカーはどう対抗するのか。29日放送のテレビ東京系「ワールドビジネスサテライト」が解説した。「RACCO」は深圳で日本専用モデルとして生産され、このたび日本に上陸した。商品企画の責任者である田川博英氏は長年、日産で軽自動車の開発を指揮し、「デイズ」や「サクラ」などの開発責任者を務めた人物だ。「自信は120%、軽自動車の歴史に名を刻めるような車に携われるのはやりがいを感じる」と語った。こだわりは丸みを帯びた車体で、独自開発の薄型バッテリーをシートの下に敷いて広い車内空間を確保したことが特長だ。来夏販売予定で価格は200万円台前半を目指す。将来的に拡大が見込めるEVだが、欧米で補助金削減や優遇政策の見直しで販売台数が減少傾向にある。さらに中国の景気低迷は深刻化している。日本の軽市場は世界でも特殊と言われるが、BYDが狙ってきたのはそんな背景があるからだ。迎え撃つ日本勢だが、軽自動車の大手スズキは初の軽自動車クラスのBEV(バッテリー電気自動車)のコンセプトモデル「Vision e-Sky」を発表した。来年度の量産化を予定している。ホンダは9月12日に発売した軽EV「N-ONE e:」が好調だ。9月の販売は2508台で国内メーカーのEV首位となった。日本のEV市場をけん引してきた日産の軽EV「サクラ」を抜いた。4〜9月のEV国内販売台数(軽自動車含む)は、前年同期比3%増の2万8501台となり、「N-ONE e:」が市場を引っ張っている状況だ。また、ホンダは10月29日、EVの世界戦略車をインドで生産すると発表した。2027年度発売予定のSUV(多目的スポーツ車)の新型EV「ゼロ アルファ」の輸出拠点にする。インドは市場の成長余地が大きく、製造コストも日本より安い。しかし、日本の自動車メーカーを取り巻く環境は厳しい。国内の新車販売台数、24年は442万台で前年度7.5%減少している。トヨタは販売台数世界トップを誇るが、アメリカで生産した車を日本に逆輸入することを検討し始めた。トヨタはジャパンモビリティショー2025(会期:11月9日まで)に「カローラ」の新しいコンセプトカーを出品しており、ガソリンや電気など幅広い動力を想定している。2023年には「センチュリー」のSUVを発表したが、今回はスポーティーなクーペタイプを公開した。マツダはロータリーエンジンを積んだPHV(プラグインハイブリッド)を発表している。走りながら排ガスのCO2を回収するコンセプトカーで、藻からできたバイオ燃料で走行する。発売時期は未定だが来月から実証実験に入る。日産は16年ぶりフルモデルチェンジ「新型エルグランド」を発表しており、来年発売予定だ。少子高齢化で日本国内の自動車市場が縮小していくのは必然だが、どのメーカーが消費者のニーズを捉えていくのか注目だ。