新店舗は天王寺区にある「Auroraプラザ」で、特徴は「女性がもっと働きやすく、もっと活躍できる環境を、女性自らが創り上げていく」(大杉茂専務)というコンセプトだ。店舗で働く社員は全員女性で、支店長は72歳の久下美恵子プラザCEO。営業歴約30年のベテランだ。
岡三証券は今年、雇用の上限年齢を撤廃し、年齢に関係なく能力に応じた積極的な人材登用を進めている。この店舗では時短勤務や週1日勤務も可能になった。これまで顧客1人につき担当者が1人付くというマンツーマン体制が決まっていたが、複数人で顧客を受け持つことで柔軟な働き方を実現した。妊娠や出産など女性が抱える悩みを克服しやすい環境づくりで営業のパフォーマンス向上につなげたい考えだ。
久下支店長は、「悩みごとを抱えてつらいことが多いと、それを隠して顧客に営業する。どこかでそれは表れてくる。生き生きとする環境づくりをこのチームでつくることができる」と抱負を語る。
なぜ、こうした店舗を開設したのか。岡三証券グループの新芝宏之社長は、「NISAは1つの象徴だが、キーワードは長期投資。顧客と営業社員の関係はより長期的なものにならないといけない」と指摘する。
この新店舗では原則として転勤がない。同じ社員が生涯に渡って顧客をサポートする狙いがある。また、将来的にはこの店舗をIFA(独立系金融アドバイザー)法人として独立させることを視野に入れているという。
IFAは「金融商品仲介業者」として金融庁に登録されて取引(売買)までサポートしている点でFP(ファイナンシャルプランナー)よりさらに専門的である。
生命保険会社では、営業成績が優秀で太い人脈のパイプを持つ社員を、シニアになっても働いてもらうための子会社を作って社長に据えることがある。しかし、岡三証券のように支店長にするケースは例がなく、女性だけの店舗というのも新しい挑戦といえる。

